国試対策についての所感
医師国家試験は新卒医学生の約95 %程度が合格する試験である*1。重要なのは合格ラインに達することで、合格さえすればその得点率に意味はない*2。
国試に合格する方法は医学生だれしもが気にするが、人によって国試医学を学習し始める時点の知識量も成長曲線も全く異なるから、人によるとしか言いようがない。
国試1日目の朝に「必修ってなんですか」と言い放った某君の国試対策はQBを一周解いただけらしかったが、般臨で9割以上得点していた。彼は何もしなくても合格しただろう。
特殊な例を考慮せず、一般的な医学生が国試に合格するための、再現性のある勉強法を聞かれたら、国試対策教材の通年講座も直前講座も模試もすべて購入するのがいいと答えておく。
ただ実際には、私の周囲で直前講座を購入した学生は少数であった。
国試対策教材を提供する会社の記事には「○月に勉強時間12時間!」と書いてあるし、模試も当然受けるものという空気が漂う。でもそれは、国試対策教材を売りたい人たちが、国試は大変だというポジションを取っているに過ぎない*3。
特に、低学年のうちは大学の講義に乗ればいい。少なくとも、臨床実習の時間を削ってまで知識の詰め込みに努めるのは本末転倒だろう。臨床実習で医学生は、患者さんと深くコミュニケーションし、ガイドラインや二次資料を漁り、画像を読み、カルテを書き、プレゼンテーションし、手技を経験する。
実務なき資格に価値はない。チーム内での実務を通して、抽象的で暗黙知的なスキルや職業倫理を形成する重要な時期であるのに、その機会を自ら減らすのは勿体無い(大学によっては、臨床実習なのに何故か筆記試験をやるところもあるようだから、落第しない程度には知識の詰め込みも頑張ってほしい)。
厚労省のWebページで国試出題基準の検討を読めば分かるように、近年の国試は真面目に実習することが国試対策にもなる*4。実際、120回で出題された抜糸の問題やSLEのGC以外の治療に関する問題は、臨床実習で経験していなければ難問奇問の部類に入るだろう。
しかし、ほとんどの人にとって、「国試のための勉強」を全くしない状態で受験したら流石に落ちる。経験していないと難しい"臨床実習枠"の問題が増えた昨今でも、国試対策をしていれば皆が解ける問題は依然として相当数確保されている(きっと出題者も、"臨床実習枠"のすべてを解くことは期待していないだろう)。国試対策教材販売業者のポジショントークに載せられておくくらいが丁度いいのかもしれない。
過去問を回数別で解くべき年数
巷で言われるセオリー通り5年分でいいと思う。
筆者は、必修問題*5 に限り10年分演習した。これは必修がもつ独特の雰囲気に慣れることを目的とした。
演習の際は、回数とは別に、出題基準を念頭に置くとよい。直近(118回からは令和6年基準で作成されている)のほうが、構成や難易度が本番に近い。
過去問PDFの探し方
クエスチョンバンクで完結しても十分であろうが、筆者は冊子形式に慣れるために厚生労働省のPDFを使った。
医療分野のトピックス|厚生労働省
↑このページで「回医師国家試験」と検索する。すると問題PDFが貼られたページがヒットする。単に「医師国家試験」だと歯科医師国家試験を巻き込む。
国試過去問ハイパーリンク集
↑厚労省の過去問PDFのリンクをまとめておいた。
暗記ノートをどこまで完成させるべきか
筆者はmedu4あたらしいシリーズの空欄を穴埋めし、暗記ノートとした*6。
正直、暗記ノートの全てを完璧にする必要はない。病態は説明できるようにしたいが、マイナーな疾患の細かい知識が入ってなくても点数に大きく影響しない*7。全てを完璧にしていなくても模試で平均少し上くらいになるし、本番でも8割以上得点できる。暗記ノートガチ勢の友人は模試で偏差値60程度だった。
最後に
繰り返すが新卒の95 %程度は国試に合格する。何もしなくてもいいとは言わないが、過度に重圧を感じる必要もない。国試がインフレしていると言われるが、出題基準が変化しているのだから、標準的な点数が変わるのも自然のことである。
最後に必要となるのは、問題文を読み飛ばさない力だと思う。過去問演習のときから読み飛ばさない癖をつけたい。筆者は、臨床実地問題は文頭から読み始め、抽象的でも病態や鑑別を想起しながら読み進めるよう心がけた。試験時間は十分にあるから、自分の知識量以外のところで失点しないよう、焦る気持ちを抑えて落ち着いて臨みたい。
それから、大学から案内がなく個人的に不安だったのが、卒業証明書の提出についてである。新卒の場合、出願のときに受験者は卒業見込み証明書を提出する。この場合、厚生労働省は受験者に、3月10日14時までに卒業証明書を提出するよう求めている。これは大学が一括で提出してくれた。
わたしの国試前後のカレンダー
(7月~12月 卒業試験 対策としてmedu4とQB科目別)
7-8月頃 就職活動
履歴書用に写真を準備する。その際に、医師国家試験の願書に貼るための、縦6 cm、横4 cmの写真を作っておくとよい。出願*8前6か月以内であれば使える。
10月上旬 大学から出願の案内
10月上旬 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の取得
筆者は本籍地から離れて生活し、かつ、本籍地がコンビニ交付に対応していなかったから、居住自治体の市役所で「広域交付」を受けた。
法務省:戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)
10月下旬 医師国家試験の出願(大学経由)
(12月下旬から厚労省PDFで回数別)
(1月上旬に模試を受験)
(1月下旬は回数別で怪しかったところをQB問題セットで周回)
1月下旬 受験票配布
1月下旬 卒業判定(受験票配布後なのはひどくないか?)
2月7-8日 国家試験本番
3月上旬 免許申請の準備
収入印紙の購入、申請書の記入、診断書の取得。
戸籍謄本は発行6か月以内であれば使えるから、国試の出願のときに提出し返却されたもので足りる。
3月16日 合格発表、即日免許申請、登録済証明書のオンライン申請
3月18日 合格証書及び成績通知書のはがきが到着
3月23日 医籍登録
3月24日未明 資格確認検索に反映、登録済証明書の交付完了
私の周囲では、京都府は早く、北海道は遅い傾向でした。医籍登録にかかる時間は都道府県(保健所)に依存していそうです。