ニコレットの部屋

Le Voyage de Nicolette

新日本海フェリー・東京九州フェリーの航路に関する文書を開示請求した記録まとめ

この記事は、以前に個人のサイトに書いたもののリメイクです。過去記事の内容と重複します。

政府刊行物の内容で気になった箇所があり、行政文書の開示請求に挑戦した一連の記録。

0. きっかけ

『数字でみる港湾2022』54頁では、新日本海フェリー舞鶴〜苫小牧の一航路として扱われていた。また、新日本海フェリーの船舶数が8隻、東京九州フェリーは船舶数6隻とされていた。

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この記述は国土交通省海事局が編集した項目であり、錯誤と思われたので問い合わせた結果、一般旅客定期航路事業の許可申請上はこれが正しい記述であることを教えてくれた。

「一般旅客定期航路事業」というキーワードを教えてもらったので、検索してみる。関東運輸局や近畿運輸局のサイトに申請案内があった。加えて、海上運送法(及び同施行令、施行規則)でも申請に関する条文を見つけることができた。

内容を整理すると以下のようになる。

  • 長距離フェリーは一般旅客定期航路事業に該当する。
  • 一般旅客定期航路事業は航路ごとの許可制である。
  • 一般旅客定期航路事業の許可を受けるには、事業者が、その航路の拠点を管轄する運輸局に、許可申請書を提出する。
  • 認可申請書の事業計画の項目で、航路(起点、終点、寄港地及び地点間の距離)を記述する。
  • 認可申請書の事業計画の項目で、使用船舶の一覧(使用船舶明細書)を示す。

これらを踏まえると、数字でみる港湾2022の記載から以下のように考えることができる。

  • 新日本海フェリー株式会社舞鶴敦賀〜新潟〜秋田〜小樽〜苫小牧航路で事業を申請し、許認可を受けている。
  • 新日本海フェリー舞鶴敦賀〜新潟〜秋田〜小樽〜苫小牧航路の事業計画上の使用船舶を数えると8隻である。
  • 東京九州フェリー株式会社は北九州〜横須賀航路で事業を申請し、許認可を受けている。
  • 東京九州フェリー北九州〜横須賀航路の事業計画上の使用船舶を数えると6隻である。

新日本海フェリーや東京九州フェリーの航路について申請内容を公開する文書があればいいのだが、自分が検索した限りは見つからなかった。そこで、行政文書の開示請求をして許可申請書を見ようと発想した。

……と思ったのだが、会社が提出した書類は行政文書になるのだろうか。国土交通省の行政文書の開示請求案内を見てみる。

情報公開制度の概要 - 国土交通省

  • 行政文書はだれでも開示を請求できる。
  • 職員が職務のために取得した文書は行政文書である。

会社が提出したものも開示できるらしい。

開示請求書を見てみる。請求する行政文書の名称等を書かなくてはいけない。

開示請求書の記載例

国土交通省のWebページに掲載されている記載例。「請求する行政文書の名称等」が文書名で書かれているが、ここまで特定してから開示請求しないといけないのか?

行政文書の開示請求はまったくの初めてなので、インターネットで開示請求をやった人の記録などを漁る。行政文書ファイル管理簿なるものであたりをつけてから開示請求をするのがいいらしい。

ここまでの方針

  • 新日本海フェリーか東京九州フェリーの申請書を開示請求する。
  • 開示請求書の記入にあたっては、行政文書ファイル管理簿を参考にする。

1. 関東運輸局とのやりとり

各機関の文書保管期限によれば、一般旅客定期航路事業の申請に係る文書は効力を消失した日から5年であるから、この情報も参考にして該当しそうな文書を探す。

「一般旅客定期航路事業」「新日本海フェリー」などと検索してみるが、ヒットするのが目当てのものか特定できない。ファイル名に「東京九州フェリー」とあるものがヒットした。それっぽく思える。

この文書は関東運輸局が保管しているらしい。東京九州フェリーを管轄するのが九州運輸局か関東運輸局かわからないけど、他にあてがないので、ファイル名を丸ごとコピペし、関東運輸局長を宛先にして開示請求書を完成させた。

1    請求する行政文書の名称等

九州管轄 一般旅客定期航路事業 東京九州フェリー

国土交通省はe-Gov電子申請での開示請求に対応している。手数料が安くなるのでこれを活用する。なお、開示請求ではPaSoRiは不要だった。

e-Gov電子申請の手続検索から入る

国土交通省のものを選択

申請者情報、請求者情報は設定しておけば自動で入力される

「申請する様式一覧」では、提出先の機関の選択、提出年月日、自分の住所氏名を記入する。スクショを別で用意したため提出先が近畿運輸局になっているが、ここでは関東運輸局が正しい。

「添付書類」に用意した開示請求書を添付する。提出先に運輸局の総務部を選択する。

申請した翌日、関東運輸局から電話がきて、申請の内容の確認があった。「ご指定の文書が特定できないのですが、何が欲しいのですか」とのこと。

Aという文書名を書いたらAが出てくるものだと思って、一応、行政文書ファイル管理簿の名前そのまま書いたのだけど、どうやらそれを求めているわけでもないらしい。ひとまず許可申請書が欲しいと伝えておく。

後日、再度確認の電話がきた。

「申請書を取得したいとのことだったが、当該部署に文書の内容を確認したところ、九州運輸局から重複して申請がないか照会されたときの開示の決裁文書であるとのことです。求めている内容でなければこちらから取り下げ扱いにし(て費用が発生しないようにし)ますがどうしますか」。

文書は求めているものでなかったので取り下げてもらった。

開示となった場合の流れについても教えてくれた。ひとまず開示請求の200円/件(e-Govの場合)が発生。紙のファイルをスキャンして、e-Govのアップロード許容量12MB?12MiB?に収まるようであれば、追加の請求は発生しない。それを超えるとCD-Rに焼いて送付することになるから、追加で費用が発生するとのこと。

開示請求には至らなかったが、管轄が九州運輸局であることが分かった。請求内容は行政文書ファイル管理簿の名前を求めているわけでもないことがわかったのも収穫である。

2. 九州運輸局に対する請求

東京九州フェリーの管轄は九州運輸局であることがわかった。また、請求内容には文書の特定に足りることを書けばよいこともわかった。

改めて、東京九州フェリーの一般旅客定期航路事業の許可申請書を請求しようとしたのだが……。

事業の許可申請書のほかに、事業計画の変更認可申請書、軽微事項変更認可申請書があるのだ。

許可申請書は当初のものだから、最新の内容を知れるわけではない。航路図、使用する岸壁の図、使用船舶の総トン数など、変わる要素はいくらでもある。

全体を開示請求するとしたら、文書の数がいくつになるかわからない。手数料がいくらになるかわからない。かといって、許可申請書(当初のもの)を申請しても情報が最新でない。

東京九州フェリーについて知りたいのは船舶のことなので、請求するのは最新の使用船舶明細書に限り、申請書には以下のように記入した。

1    請求する行政文書の名称等

東京九州フェリー株式会社が北九州〜横須賀航路について提出した、一般旅客定期航路事業許可申請書、事業計画変更認可申請書または事業計画軽微事項変更届出書の添付書類で、請求日時点で最新の使用船舶明細書。

見返すとおかしな日本語に思えるが、これなら一つに定まるだろう。

この請求はうまく行き、2日で手数料が請求された。e-Gov電子申請を利用する場合、手数料の納付はPay-easyでできるので収入印紙の用意が要らない。

e-Gov電子申請を利用する場合、申請状況の変更があった時にメールで通知が行くようにしておくとよい。これがオンになっていないと、手数料が請求されても気づけない。

手数料を納付すると2日でファイルがe-Govにアップロードされた。意外なほど円滑に手続きが進んだ。

開示決定通知書。うまくいってしまった。

東京九州フェリーの使用船舶明細書が手に入った。

3. 管轄運輸局の下調べ

各フェリー航路の管轄運輸局の一覧があればいいのだが、ないので、主要な航路については調べておく。

まとめ↓


rjt0725.hateblo.jp

なお、関西発着の航路については、近畿運輸局の資料を参考にしたが、見られなくなっている。

4. 近畿運輸局に対する請求

新日本海フェリーの管轄は近畿運輸局であることがわかった。

新日本海フェリーについては、航路のこと(起点、終点、寄港地と、地点間の距離)、船舶数のこと(使用船舶明細書)の2点を開示する。

後に確認となっても面倒だし、開示請求書を出すと開示までの日数が限られ、特定に時間がかかった場合に先方に申し訳ない。請求前に近畿運輸局に問い合わせ、文書名を確認した。

航路のことは平成23年6月14日付けの事業計画変更認可申請書、船舶数のことは令和5年7月3日付けの事業計画及び船舶運航計画軽微事項変更届出書であった。

文書が2つなので、手数料も2回分となった。

新日本海フェリーが提出した文書の表題。舞鶴敦賀~新潟~秋田~小樽~苫小牧と書いてある。

最後に航路が変更されたときのもの。どこが変更された箇所だろうか。

新日本海フェリーの使用船舶明細書。主機の種類が黒塗りされているが、九州運輸局から黒塗りされずに出てきたので6隻分は意味をなしていない。ちなみに、東京九州フェリーと新日本海フェリー、どちらの使用船舶明細書も令和5年7月3日付けで変更されている。

5. 運輸局に対する開示請求のまとめ

『数字でみる港湾2022』の記述をきっかけに開示請求を行った。

一般旅客定期航路事業というキーワードを教えてもらい、長距離フェリーに関する理解を深めた。開示請求の一連の流れを経験し、開示請求書の記入にあっては文書が特定できるように請求内容を書けば文書名の特定までしなくてよいことを学んだ。

『数字でみる港湾2022』の記載に関して、まず、新日本海フェリー4航路が1航路の申請に基づいて運航されていることを確認した。

新日本海フェリーと東京九州フェリーの船舶数の数え方の違いについては、使用船舶明細書を見てもなお腑に落ちない。新日本海フェリーを8隻とするなら東京九州フェリーは2隻だろうし、東京九州フェリーを6隻とするなら新日本海フェリーは10隻が適当だろう。

6. 海事局への問い合わせ

ひととおり調べて分からなかったので、船舶数の記載について海事局内航課に問い合わせた。

すると数字でみる港湾2024では新日本海フェリー10隻、東京九州フェリー6隻と記載されているらしい。

2024年版を入手すべく、2022年版を買ったのと同じ本屋に行ったが、置いてなかった。こういうのを買おうとしてもすぐ手に入らないのが都心で生活しないことのデメリットである。

口頭で説明を受けたのみで原本に当たっての確認ができていないが、ひとまず正しいとして取り扱う。海事局に聞いたことなのでまず間違いないけど。

数字でみる港湾2022は令和4年4月1日時点の情報をもとにしている。新日本海フェリーに最後に就航したのは、はまゆう、それいゆであるから、2隻が就航した2021年(令和3年)以降は申請上も船舶数の増減がないものと思っていた。実際のところ、令和4年4月1日時点では8隻しか登録されていなかったのかもしれない。

令和4年4月1日時点の使用船舶明細書を開示請求してもいいけど、たぶん「当時は8隻でした」で終わるだろうし、面白みはないかな。もし開示請求したら、「7. 近畿運輸局に対する2度目の請求」として追記します。